最近、ビッグデータという言葉をさっぱり聞かなくなった。ある時期には毎日どこかで耳にしていたのに。
ふと、そんなことを思ったのは、freeeへの乗り換えを検討して、利用条件を確認したからだ。freeeは無料だと思い込んでいて、弥生への不満への対抗馬として挙げてしまったのだが、調べた結果、導入時の一ヵ月は無料だが、その後は弥生のあんしん保守サービスよりも高額だということが判明してしまった。
いつから有料になったのだろうか? 2015年だと思うが、私の知人が無料だからとfreeeを使い始め、私にも勧めてきたが、既にあんしん保守サービスに申し込んだ後で、freeeへの入力済みデータをダウンロードして自分で保管、あるいは他のソフト・サービスに乗り換えできないようだったので、様子を見ることにして、そのままfreeeは無料というイメージでいた。
freeeが起業した頃は、「ビッグデータ」という言葉を誰もが意味を知らないまま盛んに口にし、将来性を期待していた。freeeは企業にビッグデータの統計・解析データを販売して、ユーザーは無料にすると言っていたような気がするが、結局ビッグデータは意味のない情報だということがばれて、ユーザーから料金を徴収して利益を上げるビジネスモデルに転換したようだ。
統計分析は過去の事象を対象にしているので、次に何が流行し売れるのかの予測はできない。今あるものが飽きられて、それまでなかったものが人気になるのが普通だ。ビッグデータを利用した投資AIというのも開発されたはずだが、儲かっているのだろうか?
他に何かないかと調べて、MFクラウド確定申告というのを見つけたが、無料プランは五十件しか登録できない。有料プランはfreeeよりは安いが、弥生のあんしん保守サービスより高額だ。
オンラインのクラウドなのだから、月額料を今の半額くらいにして、会員を増やせばいいのにと思った。パソコンにインストールしないクラウドのメリットは、多様な各個人のパソコン環境を考慮する必要がなく、一つのシステムで多数のユーザーに対応できるため、開発・更新が効率的なことと、MacやLinux、スマホなどユーザーの裾野が広いことのはずだ。先行メーカーである弥生に対抗するなら、その開発効率性とユーザーの裾野の広さを生かした価格政策が必要だ。弥生を蹴落として主導権を握った時点で、ユーザー離れしない程度で自分に有利な価格設定をすればよい。
今は、まるで価格カルテルでもしているような、各社がほとんど横並びの高値で設定してしまっている。会計ソフトは一度開発すれば、小規模な改修が時々あるくらいで、サポートサービスで稼ぐビジネスモデルが出来上がっている。だから、ユーザーは最初に導入したソフトを惰性で使い続ける傾向がある。一番に普及したソフトが君臨し続けてしまって進歩がない。そういう意味で、当時freeeには少し期待していたのだが、マーケットの現実に屈してしまったようだ。寡占マーケットが停滞するという見本のような状況だ。