青色申告の決算処理はまだ続く・・・・・
(7)家事按分の振り替え
個人事業主は、会社のように私生活(家事)と仕事が明確に分かれていることは少ない。
私生活(家事)と事業で、仕事場や設備、道具、水道光熱費などを共有できるので、二重に投資するロスがない。
だが、全てを事業経費だと認めてしまうと、いくらでも「節税」できてしまうので、私生活(家事)で使用したものを経費から除外しなければならない。
たとえば、自動車と住居を個人事業で兼用している場合、自動車のガソリン代、水道光熱費などの家事使用分をざっくりとした比率で計算して、家事振り替えをして経費から引く。
按分する比率はネット上に情報が沢山あるが、
家賃の場合、仕事に使用している面積で比率を出す方法。
水道光熱費は、1日の労働時間がおおよそ決まっている場合、時間で比率を出す方法などがある。
根拠を聞かれたときに即答できるよう、面積や時間など数値で示せるようにする必要がある。
解釈でどうとでもなるグレーゾーンなので、欲をかかず税務署に目をつけられない程度にしておく方が無難らしい。
やよいの青色申告での処理を示す。
・メニューバーの「帳簿・伝票」から「家事按分振替」を開き、家事按分をする「勘定科目」と「補助科目」を選択する。「事業割合」「家事割合」にそれぞれ比率(%)を入力して、「集計」ボタンをクリックすると、家事振替額を計算して表示してくれる。「仕訳書出」ボタンをクリックすると振替仕訳を作成できる。
・「仕訳日記帳」には12月31日の日付で、「事業主貸」への振り替えが作成される。
※「消耗品費」の勘定科目のみで全て入力していると、全てが家事按分されてしまう。仕事にしか使わない消耗品であっても全額を経費にできなくなる。
「補助科目」を作成し、家事共有しているものを区別して入力する必要がある。
(例)「車両費」の補助科目で「ガソリン代」を作成して、「ガソリン代」の補助科目に家事按分設定をする。
※※「青色申告の決算その1」で事業主勘定の相殺(必須ではない)をすると書いたが、家事按分で「事業主貸」が発生するので、相殺する場合は家事按分仕訳をした後の方がよいかもしれない。(自分で実際にやった時に確認します--->事業主勘定の相殺自体が必要ないと分かりました)
(8)開業費の償却・繰り越し(事業開始年度あるいは、開業費の繰り越しが残っている場合)
開業届を提出する前の準備段階で支出した経費は、固定資産に「任意償却」として登録する。
任意償却なので、どの年度でも任意の金額で小分けにして償却してよい。
やよいの青色申告での入力方法を示す。
・メニューの「拡張機能」の「固定資産管理」から「固定資産一覧」を開き、勘定科目を「開業費」で資産名、数量、金額などを入力する。償却方法は「任意償却」を選択する。「本年分の償却費合計」に今期で償却したい金額を入力する。「仕訳書出」ボタンを押し、「本決算仕訳として書き出す」をチェックすると、振替仕訳が作成される。
※※開業費は任意の年度で任意の金額を経費として償却することができる。0円を入力すると、今期は償却せず全額繰り越される。
事業開始年度は赤字であることが多いので、黒字の年度で償却すると「節税」に役立つかもしれない。ただし、それまで毎年繰り越し処理をする必要がある。