青色申告の決算の最後の峠にたどり着いた。
最も分かりにくいと言われる固定資産の減価償却である。
(9)固定資産の減価償却
固定資産とは、事業に必要な機械類や施設備品など、複数年にわたり使用するものである。固定の「資産」なので、そのままでは「経費」ではない。
取得した時の仕訳も「資産」の勘定科目を使用する。
(自動車なら「車両運搬具」、製造機械・高性能サーバーPCなら「機械装置」など)
使用期間が複数年にわたるので、毎年少しずつ「経費」に振り替えていく。
固定資産の種類により償却する年数が決まっているので、税務署の資料や国税庁のホームページなどに減価償却資産の耐用年数表が掲載されている。
固定資産の金額により、そのまま経費にしたり、複数の固定資産をひとまとめにして減価償却あるいは、そのまま経費にすることができる。
・使用可能期間が1年未満、もしくは取得額10万円未満の資産(小額な減価償却資産)
減価償却せず、そのまま経費とすることができる。
食品のように賞味期限・使用期限が1年未満と明示されているものは、減価償却せず全額をその年度の経費としてよい。(食品は固定資産ではないが、あくまで例えとして)
10万円未満のものは「消耗品費」などの仕訳で、そのまま経費入力すれば頭を悩ます必要がないし楽である。
・取得額10万以上20万円未満の資産は、複数をまとめて3年間で3分の1ずつ均等に償却することができる。(一括償却資産)
やよいの青色申告では、「固定資産一覧」の固定資産の登録で「償却方法」「一括償却」を選択する。
「一括償却資産一覧表」に「固定資産一覧」で登録した一括償却資産が表示されるようになる。
ただし、これだけでは青色申告決算書に反映されない上、 手動で減価償却費に登録作業をしたり、仕訳入力をする必要がある。(全く自動化されていない)
この方法で節税効果があるのかどうか詳細な比較計算をしないとわからないし、やよいの青色申告で処理が自動化されていないため、複雑な入力作業が必須となる。
このレベルの会計処理が必要な人は、最初から税理士にお金を払ってやってもらった方がよい。
私は、自分が理解できるレベルの楽な方法しか使用しないし、必要性もないので、この方法にはこれ以上立ち入らない。
・取得額(10万以上で)30万円未満の固定資産は、複数を合計して300万円まで小額減価償却資産として、そのまま必要経費にできる。(措法28の2)
(ただし、個人事業主でかつ青色申告の届け出をしている人のみが特例の対象)
この方法では、10万円以上30万円未満の固定資産ならば、上記の「一括償却資産」の3年分割ではなく、今期で300万円まで全額必要経費にすることができる。
一括償却資産と同じく、どれほど節税効果があるのか疑わしい。
やよいの青色申告では、これも自動化されていないし、自分で複雑な操作・入力をする必要があるので、これ以上立ち入らない。(必要な人は税理士に頼みましょう)
・その他は固定資産の耐用年数表を参照して、年数に応じた減価償却を行う。
(通常は「定額法」で計算する。定率法にしたい場合は届け出が必要)
やよいの青色申告での方法を示す。
・購入時に「現金出納帳」や「預金出納帳」などで、「資産」の勘定科目で仕訳入力していること。
・メニューの「拡張機能」の「固定資産管理」から「固定資産一覧」を開き、勘定科目に当該資産に対応するものを選択する。資産名、数量、金額、耐用年数などを入力する。償却方法は「定額法」を選択する。「仕訳書出」ボタンを押し、「本決算仕訳として書き出す」をチェックすると、振替仕訳が作成される。
※※説明会で税理士さんが固定資産のトリビアを教えてくれた。
自動車を購入する際、古い車を20万円で下取りしてもらって、80万円払った場合、自動車の取得金額は80万円ではなく、100万円として減価償却の計算をしなくてはならない。下取り分の20万円は「譲渡所得」として申告することになる。
普通自動車ならば、取得価額100万円として6年で償却しなければならない。
素人はよく間違えるとのことだった。
(2022/2/19 追記)
固定資産の減価償却の残高はゼロ円にならないことを知った。
最初はやよいの青色申告のエラーかと思ったが、これは備忘価格といって、当該資産が存在して使用している限り、固定資産台帳に残すためらしい。
ただし、ソフトウェアなどの無形資産はゼロ円にして削除してよい。私の場合のように、自動車を固定資産として減価償却してる場合は、有形固定資産なので、ずっと1円のまま固定資産台帳に残さないといけない。廃棄や売却した時に、「固定資産除去損」としてこの1円を損失計上でゼロ円にし、翌年度の固定資産台帳から削除することになる。