秋になると、貪るように本を読む癖がある。
私は子供のころからマンガ・アニメ派なので、普段は活字の本を読みたいという欲求がない。
寒くなって外出が億劫になると、活字の文学とか歴史の本を読みたくなってしまうのだ。
精神分析をすると何かわかるかもしれないが、わかったからといってマンガを読まなくなるわけだはないので、意味がないだろう。
実害はない。
なぜか今年はケルアックの「オン・ザ・ロード」を読んだ。
読むのに4日かかった。
何年か前にハードカバーの世界文学全集に収録されているのを見て気になっていた。
書店で書籍をあさっていたときに、目にとまったのですぐさま購入した。
語り手である主人公(ケルアック自身)は、「退屈な知識人」になっていく自分に違和感を持っている。
そこに「健康な犯罪性」と「アメリカ的歓喜」にあふれ、カウボーイ然としたディーンという男と出会う。
ケルアックは、非常識な行動をする友人ディーンに触発されヒッチハイクの旅にでていくことになる。
ビート・ジェネレーションとかヒッピー・ムーブメントとかの時代の雰囲気は全くわからないが、ケルアックのいうディーンは、こんな人物ではないかという映画を見つけた。
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」
「飲む・打つ・買う」が人生のすべてのような南部のカウボーイである主人公。
エイズだとわかり余命30日と宣告される。
図書館で必死に生きる方法を調べ、アメリカのエイズ治療認可薬が制限されていることを知った主人公はメキシコからエイズ治療薬を密輸入する。
彼は生き延び、アメリカにエイズ未承認薬を世界中から密輸する事業を始める。
医者とか警察とかの権威を鵜呑みにせず、変装したり脱獄したり破天荒な行動力で、金儲けと正義感が矛盾せずに同居している。
法律を盾にしてエイズ患者を「見殺し」にする、マニュアル通りの対応しかしない医者や政府の方が悪役に見えてしまう。
素朴な疑問に真正面から突撃する姿は、ケルアックのいう「退屈な知識人」にはない痛快さがあるように思う。
この映画の主人公はアメリカ的アウトローのヒーローとなるが、「オン・ザ・ロード」のディーンは人生に収拾がつかなくなり消えていく。
1950年代と1980年代の時代の違いだろうか?
独立を目指しているのにビジネス書を読まずに、ハチャメチャな放浪小説を読んでいるのが、私の変なところだ。
私は「寅さん」にでもなりたいのだろうか?(寅さんも行商のような個人事業主だったはず(^_^;;;)
本当に精神分析が必要かも・・・・・