以前から書いている電気工事会社の社長さん。
会社の購入はお断りしたのだが、事務所の購入を持ちかけてきた件で後日談がある。
事務所のお値段を恐る恐るお聞きしたのだが、事務所は会社の所有になっているので、事務所だけ切り離して売ることはできない、と言われた。
株式会社が不動産を個人へ売却してもなんら問題ないと思うのだが、社長さんは会社から切り離せないの一点張り。
結局、電気工事会社を購入しろという話に逆戻りしてしまい、「検討はしてみますが・・・」という曖昧な答えで逃げ帰ってしまった。
中小企業はどこも銀行融資の際に、社長の個人保証を付けているはずである。
事務所購入を餌に、会社の負債ごと私に押し付けようとしているのかもしれない。
不動産はそれなりの価値があるとしても、会社の収支を含めた資産状況を確認しなければ会社の購入などできない。
おそらく不動産価値から負債を差し引けば、提示価格の半分くらいだろうと想像している。
株式も社長だけでなく、家族や親族が一部を所有しているはずで、株式を全て自分の名義に変更しないかぎり、自分の思うようにできないはずなのだ。
うまい話は転がっていない。
それだけで話を終えてはツマラナイので、株式会社の譲渡に必要なことを調べてみた。
株式会社は、株式発行会社と株式不発行会社にわけることができる。
上場企業などは当然、株券を発行しており、管理が面倒でなければ印刷された株券を手元に持つこともできる。
しかし、日本の中小企業のほとんど全てが、株式を発行していない。
株券がないのにどうやって管理しているのだろうか?
当該会社で株式名簿を管理して、そこに名前と株数が記載されているだけである。
株の名義変更をしても、公的な機関に届出が必要なわけではない。
もちろん、代表者印や銀行口座名義人の変更などは、業務に支障がでるため必須だ。
株主の名義変更は「民間」の話なので、役所が関わるところではないらしい。
株式の譲渡自体は、当事者間の「意思表示」だけで効力を持つらしい。
だが、会社規定に株式の譲渡制限の規定があれば、それに従わなければならない。
たいていは、取締役会あるいは株主総会を開いて承認するようになっているようだ。
その承認をもらった上で、株主名簿の名義書換がされることにより、初めて効力が発生する。
株主総会で親族が口をはさみ、他家の相続争いに巻き込まれたりしたら目も当てられない。
社長さんの口約束だけで成立するほど、簡単な話ではないようだ。
気をつけよう。