最近、立て続けに古物買い取りのフランチャイズ店が4店舗できた。
それぞれ別の古物買い取りのフランチャイズ・チェーンだが、1キロくらいしか店舗が離れていない。それも地方都市の駅や繁華街から遠い住宅街の近くだ。
スーパーの一角のクリーニング店だったところを店舗にしているところもある。
商品在庫がないので、どこでも開業できるのだろうが、ほとんど同時期に近くで開店して大丈夫だろうか?
古物買い取りのことを考えていたら、昔のことを思い出した。
もうほとんど忘れかけていて、もはや思い出すことは一度もなかった。
7年くらい前、友人にアルバイトの応援を頼まれた。
中国での需要の高まりで、金属の価格が高騰した時期があった。
空き地で古いテレビやエアコン・洗濯機など家電製品を、無料で引き取る事業が日本全国で流行した。
友人の知り合いの知り合いが、その事業を手がけていた。
一箇所だけでなく、数箇所で空き地を借りていたが、人手が足りないらしかった。
基本的に留守番をして、廃棄品が運び込まれたら積み下ろしするだけなのだが、基本的に休日がなく誰も長続きしないため、日曜だけでも留守番役をしてくれないかというものだった。
当時、FX取引で大損して、少しお金に困っていた。
遊ぶ金もなく、休日は家に篭っていたので、お小遣い稼ぎで引き受けた。
この事業をしていたのは、ちょっとアウトロー風の人で、昔は地元で知らぬもののないワルだったそうだ。
そのときも500万円の借金を抱えていたがどこ吹く風で、逆に取り立てにきた人を「恐喝で訴える」と逆に脅す始末だった。
今までそんな人たちと関わりがなかったので、興味をそそられた。
事業は単純なモデルだった。
無料で引き取った家電や金属類を集めて、廃棄物処理の工場に持っていく。
そこで重さを量り、持ち込んだ金属などの種類により買い取り価格を工場側が適用して、現金でお金をもらう。
(そこで回収された金属は中国や東南アジアに輸出されていたらしい)
壊れてない完全品はハードオフや中古品買い取りの店に持っていく。
どれくらいの売上があったのかは知らないが、引取り所を増やしていたので、結構儲かっていたのだろう。
家電リサイクル法で家電の廃棄に数千円のお金がかかることと、2年後に地上波が終了し地上デジタル放送の試験放送が開始されたときで、需要の多い事業だったのだろう。
最初は留守番と積み下ろしだけしていたが、面白くなってきて工場への持込みと買い取り価格の交渉などもやらせてもらった。
単なる廃品回収とはいえ、仕入れや販売、広告の打ち方など、事業を行うにはいろいろなことをやっていかなければならない。
それを経験したことで(うまくできたかどうかは別にして)、自分が狭い世界で生きてきたのだと知った。
しかし、サラリーマンの仕事とアルバイトで自分の休みがなくなり、体力的にきつくなったので、数ヶ月ほどで辞めた。
その後、どうなったかは知らない。
全く連絡もなく、噂も聞かなかった。
もはや市内で無料引取りを見かけることはない、バイタリティ溢れる彼のことだ新しい事業をやっているだろう。
それとも海の底に沈んでいるのか・・・・